田中安茂先生指導のもと市川市を拠点に活動している混声合唱団です。
フィンランディア

フィンランド独立は1917年。ロシア革命の混乱に乗じてフィンランド領邦議会は独立を宣言した。

シベリウス(1865–1957) の作品の中で,日本でとりわけて有名な「フィンランディア」 が作曲されたのは,まだ独立前のフィンランドがロシア化政策の厳しい締めつけの中にあった1899年である。原題は「Suomi herää」(フィンランド目覚める)。この背景には、当時フィンランドを支配していたロシアに対する独立運動の気運の高まりがある。「Suomi herää」は、即刻、上演禁止処分を食らうが、それでも名を伏せてはあちこちで演奏されていたらしい。ということは、わりと知られていることかもしれない。

「フィンランディア」 は8分ほどの作品だが,その5分過ぎから約2分間の静かなメロディーに,上のような愛国的な歌詞をつけてアカペラの合唱曲として歌うのが「フィンランディア賛歌」 (Finlandia-hymni) である。リズムは讃美歌298(やすかれわが心よ)が元になっている。

この歌詞はいろいろあり、コスケンニエミのものは,1941年でフィンランドの対ソ戦争の頃である。

 

原詩/コスケンニエミ(1941)             

Oi Suomi, katso, sinun päiväs koittaa, 

yön uhka karkoitettu on jo pois,        

ja aamun kiuru kirkkaudessa soittaa   

kuin itse taivahan kansi sois.           

Yön vallat aamun valkeus jo voittaa,  

sun päiväs koittaa, oi synnyinmaa.    

松村一登訳

おお,スオミ,見よ,お前の夜明けだ

お前を脅かす夜は遠くへ追い払われ

ヒバリが,輝く朝の歌を歌っている

まるで空自身が奏でているようだ

朝の光が夜の闇の力に打ち勝ち

お前の朝が明けたのだ,祖国よ

Oi nouse, Suomi, nosta korkealle        

pääs seppelöimä suurten muistojen,    

oi nouse, Suomi, näytit maailmalle    

sa että karkoitit orjuuden               

ja ettet taipunut sa sorron alle,        

on aamus alkanut, synnyinmaa.         

さあ立ち上がれ,スオミ,高々とあげよ

偉業の記憶の花束で飾られた自分の頭を

さあ立ち上がれスオミ,お前は世界に示した

他民族による支配をはねのけたことを

圧政に屈しなかったことを

お前の一日が始まるのだ,祖国よ

 コメント:

独立前のロシア領時代を 「夜」 (yö) 「夜の支配」 (yön vallat) 「隷属」 (orjuus) 「圧政」 (sorto) など,独立を 「朝」 (aamu, päivä) 「明るい輝き」 (kirkkaus) 「朝の明るさ」 (aamun valkeus) などのことばを使って対比させ,さらにその2つを 「追い払う」 (karkoittaa) 「克服する」 (voittaa) 「(夜が)明ける」 (koittaa) などの動詞で関係づけるという,誰にもわかるきわめて単純明解な歌詞になっている。スオミ=フィンランド。

日本でよく歌われているのは、七つの海越え、、で始まるものは、ロイド ストーンによるものです。

Lloyd Stone作詞(1934)       関 忠亮 訳詞

 

This is my song, O God of all the nations,

A song of peace for lands afar and mine.

This is my home, the country where my heart is;

Here are my hopes, my dreams, my sacred shrine.

But other hearts in other lands are beating,

With hopes and dreams as true and high as mine.

 

My country’s skies are bluer than the ocean,

And sunlight beams on cloverleaf and pine.

But other lands have sunlight too and clover,

And skies are everywhere as blue as mine.

O hear my song, O God of all the nations,

A song of peace for their land and for mine.

 

七つの海越え ひびけ はるかの 国のもとへ ふるさとの 野に歌える 私の希望こそ

世界のすみまで同じ 平和への歌声

 

青き空の色 深く 木立も 草もひかる 我が祖国よ 若者よ 他国の山もまた

同じ光に映えるを ともに願い歌え

 

今回、ノアが歌ったものは日本語詩/久野静夫のものです。

 

オーロラ光る彼方の ましろき山を目指し おおしく進む若者 その頬赤くはゆ 

険しき道の彼方に 望みと幸はみつ

 

北風すさぶこうやに 緑の森を求め たくまし進む若者 そのむね広くはり

はてなき道の彼方に 望みと幸はみつ

 

久野静夫という名前は、文献によれば、市川都志春 (1912-1998)の別名とのことです。

 

 ちなみに、讃美歌298(やすかれわが心よ)の歌詞は次のようなものです。

 

安かれ、我が心よ

主イェスは ともにいます

痛みも 苦しみをも

雄々しく 忍び耐えよ

主イェスの ともにませば

耐え得ぬ 悩みはなし

 

安かれ、我が心よ

波風 猛(たけ)るときも

父なる 天つ神の

御旨(みむね)に 委(ゆだ)ねまつれ

御手もて 導き給う

望みの 岸は近し

 

安かれ、我が心よ

月日の 移ろいなき

御国は やがて来たらん

憂いは 永久(とわ)に消えて

輝く 御顔仰ぐ

命の 幸(さち)をぞ受けん

 

 

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