田中安茂先生指導のもと市川市を拠点に活動している混声合唱団です。
ホルマント周波数について

2013/6/2 木村

Home Remedies For Hives And Angioedema Natural Treatment With Dr. Gary M Levin Help read more

 先日、田中先生の指導中「イ」の周波数のことを言っておられたので調べました。

ホルマント周波数と言うのがそれらしいです。

Ⅰ.声の特徴

実際の音声は空気の振動です。目に見えませんが、マイクロホンを通して電気信号に変換すれば、

オシロスコープという測定器によって表示・観測できます。
測定結果から、音声信号の性質として、以下のことがわかります。

①  周期的である

波形をみると最初にわかる性質です。しかし、この性質は/a/,/i/,/u/,/e/,/o/

などの母音や/n/鼻音にみられる性質で、/s/や/k/などの子音にはみられません。

この周期は『ピッチ』と呼ばれており、声の高さを決める要因です。

②  音韻により波形の形が違う

楽器の音色が違うように音韻により聞こえ方(波形の形)が違っています。

これは『ホルマント』と呼ばれる物理量が大きく関係しています。

次に、同じ/a/についていろいろな波形を比べてみると、男性と女性では

ピッチの間隔(周期)が異なっていることが分かります。

ピッチは声の高さを決める要因です。したがって、声の高さの違う、男性と女性ではピッチが異なります。

ピッチの大体の値を次に示します。

男性 5ms~10ms (100Hz~200Hz)

女性     3ms~7ms  (143Hz~333Hz)

Ⅱ.母音の発声のしくみ

声が出るためには音源が必要です。母音の場合には、この音源は声帯で作りだされます。

肺から押し出される呼気は、気管の途中の喉頭というところの呼気を止める働きをする3つの弁を通過します。

声帯はそのうちの1つです。他の2つは、喉頭蓋、仮声帯と呼ばれます。
一方、声帯は2枚のヒダを開閉することによって、呼気を断続的に止める働きがあり、

その断続によって空気流が発生します。声帯筋を緊張させますとこのヒダに張力が加わるため、

ヒダの開閉の周波数が高くなり、声が高くなります。

また、呼気流を大きくすると大きな声になります。

この声帯の振動周期が『ピッチ』(声の高さ)を与えています。

それでは、どのようにして複雑な母音の波形が作り出されるのでしょうか。

それは、音源波が唇から放射されるまでに通過する声道(咽喉と口腔)の形によって作り出されています。
音波が円筒管のような音響管(気柱)を通過すると、ある周波数を持つ音波が強められ、

他の周波数は弱められるという共鳴現象が生じます。

その共鳴周波数(固有振動数ともいえる)は音響管の形にだけ依存します。
声帯から唇までの声道を1つの音響管と考えると、円筒管の場合と同様に共鳴現象が生じます。
声道の長さは大人で17㎝程度です。声道を17㎝の長さを持つ円筒管とすると、いろいろなパターンの共鳴を起こします。

ただ、声道の場合は円筒間のように一定の太さでないため、もう少し複雑になります。

そして、共鳴によって強められた周波数をホルマントと呼びます。ホルマントは複数個発生し、

周波数の低い方から第1ホルマント(F1)、第2ホルマント(F2)、第3ホルマント(F3)、…と呼びます。

この複数のホルマントによって声の種類(音色)が決まります。

声道は母音によってきわめて複雑な形状を示すのですが、声道があまり変化しない部分と

大きく変化する部分に分けて考えることができます。たとえば、声道を、長さと断面積が

それぞれ異なる管が接続したものと仮定すると、ホルマントと声道の形のおおよその関係を知ることができます。
母音の/a/に相当する声道の形の場合、第1番目と第2番目のピーク、

すなわち第1ホルマント、第2ホルマントはそれぞれ約780Hz、約1240Hzになります。
母音の/i/に相当する声道の形の場合、第1番目と第2番目のピーク、

すなわち第1ホルマント、第2ホルマントはそれぞれ約240Hz、約1990Hzになります。

これら声道の形は舌や唇を使って変えられています。口腔を横から見ると、

舌の最も盛り上がっているところがありますが、これを舌の位置と呼びます。

この位置が母音の種類によって特徴的に推移していることがわかります。

この推移しているところを線で結びますと、ほぼ三角形になります。

この三角形に基づいて、唇側の母音を前舌母音、声帯側を後舌母音、

上のは口径が狭いので狭い母音、逆に、下のは広い母音と呼びます。

実際、日本語5母音のスペクトル・パターンを観察してみると、以下のことが分かります。

「あ」が男声 F1=750 Hz, F2=1350 Hz、女声 F1=850Hz、F2=1700Hz

「い」が男声 F1=240 Hz, F2=2100 Hz、女声 F1=280Hz、F2=2800Hz

「う」が男声 F1=320 Hz, F2=1340 Hz、女声 F1=350Hz、F2=1770Hz

「え」が男声 F1=450 Hz, F2=1950 Hz、女声 F1=560Hz、F2=2200Hz

「お」が男声 F1=540 Hz, F2=1000 Hz、女声 F1=630Hz、F2=1300Hz

以下のサイトで図面も含めて詳しい解説が載っています。
参考文献

http://www.oki.com/jp/rd/ss/speech.html

zp8497586rq